かぜおくんの、やさしいきもち【021211】

ヒラトコ家の人々
保育園からの帰り道。だいぶ冷え込んだ夜道をかぜおくんと手をつないで歩いていると、ふと彼はわたしを見上げて、心配そうに「ママだいじょうぶ?」と言うのだった。
「え?」
一瞬なんのことか分からず、素早く記憶を巻き戻し、、、
「あ。」
わたしが数秒前にちいさく咳き込んだところでシーンが止まった。自分でも気にならないくらい些細な、とてもちいさな咳だったのに…。かぜおくんはそれを心配してくれたみたいだった。
「ママのお咳のこと? だいじょうだよぉ〜、心配してくれてありがとうね!」
そしたらまた数分後まったく同じやりとりがあって、そのときも「だいじょうぶ?」と言われて自分のちいさな咳に気づいたのでした。
赤ちゃん期からは脱したものの、まだまだ手のかかる2歳児だと思っていた息子が、いつの間にかわたしのちいさな咳を気遣えるようになっていた衝撃。世の中的には心配するほどではないレベルの、取るに足らないアクシデントだったけれど、敢えて「だいじょうぶ?」とい聞いてくれる2歳児ならではの思いやりがとってもうれしかった。

そんなやり取りの後、こんどは「ママ、きれいー!」と目を輝かせるかぜおくん。クリスマス仕様にライトアップされた一角をうれしそうに眺めているのでした。
わたしにとっては、このシーズン恒例の見慣れた光景なんだけどね。これからは毎年この前を通るたびに、かぜおくんのやさしいきもちを思い出して胸を熱くするのかもしれない。